メンズエステを健全に経営するには

近年増加の一途をたどるメンズエステ(通称メンエス)ですが、店舗の増加に伴い、摘発件数も増えています。
この記事では、メンズエステを経営するうえで、必要な許可・届出について解説いたします。

◎メンズエステは風営法の届出が必要?

メンズエステ経営で最も重要なポイントは「性的サービスを提供するのか否か」です。性的サービスを提供するのであれば当然風営法の性風俗特殊営業に該当するため、届出が必要です。一方、性的サービスを提供しないのであれば、美容エステサロンやマッサージ店同様、風営法の対象外になり届出は不要です。

性的サービスを提供するメンエスは「性風俗特殊営業」に該当し、店舗型か無店舗型に分かれて届け出る事になります。しかし、「店舗型」は東京を含めほとんどの地域で、条例によって出店可能地域が限られているため、新規での開業が非常に難しいです。条例で禁止される前から届け出を出して営業していたお店は、既得権により、そのまま営業していても大丈夫です。
※風営法では、ソープランドや箱ヘルなどの店舗型性風俗特殊営業について、営業をしてはいけない禁止区域・禁止地域を定めており、具体的な範囲については各都道府県の条例に委任しています。

従って、性的サービスを提供するメンエスは、デリヘルのような無店舗型の形態にせざるを得ない場合も多いです。この場合、無店舗型性風俗特殊営業の届出を所轄の警察署にする必要があります。

◎店舗型メンズエステの注意点

性的サービスを行っているかどうかは実態により判断されます。

自分の店は「ヌキなし」、つまり性的サービスを提供しないから店舗型で営業していても大丈夫だ、と経営者の方が安易に安心できない注意点がいくつかあります。

・キャストが個人的に客と交渉し、性的サービスを行っている。
・鼠径部(そけいぶ)や男性器周辺、睾丸など、際どいマッサージを行っている。
・キャストが主に集客を目的とし、露出の高い写真をXなどのSNS等にアップしている。
・キャストが下着やランジェリーなど過激な格好をし、客の性的好奇心を煽っている。
・キャストが過度に客と密着している。

これらは特に弊所でもよく相談されるパターンで、注意が必要です。性的サービスが行われている場合は、客からの密告、同業他社による嫌がらせ、警察によるチェックなどで発覚する場合があります。お店と揉めて辞めた従業員からの密告もよくある話です。多くのお店はマンションの一室で営業しているため、近隣住民から通報を受ければ警察も動かざるを得ないので捜査対象となります。

性的サービスを行っている可能性があるメンズエステ店に対して、私服の警察官が一般客を装い潜入捜査を行う場合もあります。見た目は普通のお客さんと区別がつかないので見分けられません。潜入捜査官が複数のキャストに一般客として来店し、キャストが個人的に違法な性的サービスを行っているのか、店側の指示により店ぐるみで行っているのか等を調査したりします。

上記注意点を確認していただき、風営法違反とならないよう注意しましょう。


◎摘発されてしまうとどうなるの?

もし店舗型メンエスで性的サービスを行っていたことが発覚し、摘発された場合には、風営法第四九条により「2年以下の懲役もしくは200万円の罰金または併科」という重い処分になります。初犯であっても罰金は100万円前後が相場のようなので、注意が必要です。

では、摘発されると誰が罰せられるのか。これは実質的な経営者(オーナー)が対象となる場合が多いようですが、キャストや従業員も逮捕される可能性はあります。客は共犯者ではないため逮捕されませんが、長時間にわたって事情聴取をされ調書を書かされる場合があります。

◎メンズエステ経営者が逮捕・摘発を避けるには

せっかくお店を立ち上げ、キャストも雇用しお客様もついているのに摘発されたらもったいないです。風営法の届出を出さず店舗型で運営していくのであれば、「ヌキがないようにキャストに徹底し、違反者はクビにするなど処分をする」「ヌキや際どい部位への接触を禁止する誓約書をキャスト・お客様と締結する」などをし、可能であれば健全な経営をしていることを証拠として提出できるよう「店舗マニュアルや講習ビデオなどを記録として残す」といったことが必要です。

また、ヌキありなのであれば、可及的速やかに店舗型ではなく派遣型にし、風営法の届出を出す(風エスにする)ことをお勧めします。その際は是非弊所にご相談ください。


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